コクタン(黒檀)は毎日のように触れている、あまりに身近な木材です。なぜなら楽器(チェロ)の指板がコクタンだから。
バイオリン、ビオラ、コントラバスの指板もコクタンが使われています。もっともコントラバスで安い楽器の指板が、他の材に黒く色を塗られているのを見たことがあります。
私が好きな木材 ~コクタン
〇コクタン(黒檀) カキノキ科/広葉樹 気乾比重:1.16
・コクタンの加工について
上の写真は「ナミウサギのチャーム」。数か月前に作ったアイテムで、お気に入りのひとつです。0.5mmのスクエアエンドミルを持っていなかった時なので、木象嵌ではなく、元の図案を活かすために1mmのミルでコクタンの薄板1.5mmを透かし彫りしています。裏打ちの木材はツゲです。
最も硬い木なのでZ軸の切削深さ・パス深さ、送り速度には気を使います。最初はパス深さを0.1mmから始めて様子を見ていました。機械への負担も大きく、両面テープが外れて木材がテーブルの上でクルクル回っていたこともあります。
コクタンやツゲはエッジが付き過ぎますので金属加工と同様、面取りが必要となります。
ありがたいのはコクタンはいろいろな厚みの薄板が市場に出ていることです。硬い木を面的に何ミリも落とすのは大変ですので。
・材の特徴
先日のエントリで紹介したように紫檀(シタン)、鉄刀木(タガヤサン)とともに三大銘木として古くから珍重されています。シタンと同様、硬くて重さがあって緻密で木の繊維が出にくいことも特徴ですが、私はこの真っ黒な色が最大の美点だと思います。
和風にとても合い、高級感も出ます。磨くと光る材です。
・用途
建築材料として床柱、家具、仏壇・仏具、楽器、お箸や道具の柄、ミニカンナなどの小物の材料にも使用されます。またチェスの駒や、根付など小さな彫刻材料としても有名です。
高級ピアノの黒鍵など、手(指)が触れる箇所は代替えが難しく、コクタンの粉末を成型するなどの試みが行われているようです。→
最近の浜松での黒檀黒鍵の事情 « 「ピアノでココロ豊かな人生を」ピアノ愛好家のための 浜松ピアノ店
ワシントン条約で規制対象となっていますが、国内での取引は支障はありません。今まで国内で使われた材はたくさんあると考えられますので、燃やすことなく、再利用を心がけ、端材であっても市場に出してほしいと思います。
(おわり)