木象嵌(もくぞうがん)とは何でしょうか?
正倉院の宝物には角や骨、貝や宝石などを嵌(は)め込んだ象嵌(ぞうがん)で装飾された楽器や調度品が伝えられているそうです。
下の書物によると、『木象嵌(もくぞうがん)とは、種々の天然木材を用いて象(かたち)を作り、それを嵌(は)め込んで絵画や図柄を表現する木画の技法』です。
過去ブログで「市松模様」をモチーフとした簡単な「木象嵌」を紹介したことがあります。
CNC工作機での「木象嵌」はエンドミルの径を考慮に入れなければいけません。以前までは下のブログを参考にさせていただき、イラストレーターなどの「パスのオフセット」機能により、入角をエンドミルの径が入る曲線に加工していました。
しかし、元の絵が全く違う印象になってしまうことが多く、木象嵌を取りやめていました。
okamototomohiro.com今は径の細いエンドミル(コンマ5mm)が入手でき、またソフト(Cut2Dなど)でインレイ(嵌め込み)加工が簡単に設定できますので、かなり表現の自由度が上がりました。
以前、木象嵌をあきらめていた「波ウサギのチャーム」を作り直してみました。
材料は前回(上の写真)と同じくコクタンとツゲです。
オス(ツゲ右)とメス(コクタン左)を作り、
貼り合わせてから削ります。
波ウサギが“出て”きました。
出来上がり。さすが最高級の木材であるコクタンとツゲですね。緻密な材質は他のものには替えられません。
最後に波ウサギについて。
波ウサギの「波と兎」は昔からの決まった図柄のひとつで、“波”は水なので火防・火除けの守りとされ、月の精である“兎”は子孫繁栄や豊穣をもたらすめでたい瑞獣とされていました。「波と兎」の図柄は倉の鏝絵(コテエ)や古伊万里・着物・家紋の文様などにも見られるそうです。
(おわり)