市場に出ている木材はたくさんありますが、ここでは「個人向けCNC工作機を使った木工小物作り」の観点からの木材の選択・分類となります。
1.比重・色
いつもお世話になっているWEBサイト「木材博物館」から、市場で薄板として入手できそうな材を比重で分類し、色も付記しました。
1以上
コクタン(黒)
0.99~0.70
シタン(紫)・ツゲ(黄)・ウェンジ(黒)・パープルハート(紫)・ブビンガ(赤)・シラガシ(薄褐色)・パオロサ(濃褐色)・ゼブラウッド(褐色縞)・アカシア(薄褐色)・アメリカンホワイトオーク(黄)・クロガキ(暗褐色斑)
0.69~0.60
ケヤキ(薄褐色)・シュリザクラ(薄褐色)・ナラ(薄褐色)・マカバ(薄褐色)・パドック(赤)・イタヤカエデ(白)・カリン(赤)・タモ(薄褐色)・ウォルナット(濃褐色)・エンジュ(濃褐色)・チーク(濃褐色)・ニレ(薄褐色)・シカモア(白)・ブナ(白)・クリ(黄)
0.59~0.50
マンソニア(薄褐色)・イチョウ(白)・イチイ(薄褐色)・カツラ(薄褐色)・トチ(白)・クスノキ(黄)・アガチス(黄)・カヤ(黄)・シナ(薄褐色)・セン(薄褐色)
0.49~0.30
キハダ(薄褐色)・ホオ(薄褐色)・エゾマツ(白)・サワグルミ(白)・ポプラ(白)・ヒバ(薄褐色)・モミ(薄褐色)・ヒノキ(薄褐色)・スギ(薄褐色)
0.30以下
キリ(白)
根付やキーホルダーといった小物作りにおいては、緻密で摩耗しにくいという物理的な性質の他に、色彩が豊かであることや、磨かれて美しくなるといった要素も必要です。
比重と硬さは必ずしも一致しませんが、私の感覚では比重0.59以下では爪を立てると跡が付きそうなくらい軟らかいだろうなと想像します。
国産材は、薄い褐色や黄・白がほとんどで色彩に乏しいので、色の鮮やかな外材を使わざるを得ないです。ケヤキやマカバ、イタヤカエデは硬さ・比重も中庸で、国産材の中では比較的使いやすい材です。
2.環孔材・散孔材と放射孔材
CNCを使った木工小物作りにおいては硬くて比重の大きい材がよいと思われますが、そういう木材でも不適当なものがあります。
硬い木の代名詞シラカシはCNCで切削すると鋭いササクレが出やすく、薄板は特に反りやすいことが判明しました。これは道管の配列のせいだと思われます。下の図は木材を輪切りにした時の断面拡大図です。
出典:木材の基礎知識
道管は円筒形をした細胞で、水分が上昇する通路。針葉樹には道管がありませんが、広葉樹は複雑に道管が配列し、環孔材、散孔材、放射孔材などに分類されます。
〇環孔材 (かんこうざい)
上図の右側。大型の道管が年輪にそって分布している樹種。木目がはっきり表れます。ケヤキ、ナラ、チーク、センなど。
〇散孔材 (さんこうざい)
上図の真ん中。道管が木部全体に分布している樹種。木目ははっきりしませんが均質に見えます。カエデ、サクラ、ブナ、ホオ、カツラ、シナなど。
〇放射孔材 (ほうしゃこうざい)
上図の左側。道管の分布が、樹心を中心に放射状(半径方向)に配列しているもので、カシ類・シイの仲間に見られます。
放射孔材は、年輪に関係なく硬い道管の層がかたまって現れるので切削面が荒れやすく、また粗密が大きいので反るのだと推察されます。
(おわり)