モノノミカタ ~CNCを使った木工作品についての説明書きなど

自然と人をつなぐモノづくり。創作する上で知ったこと、考えたこと。

CNC加工に使っている木材材料について/私が好きな木材 〜シタン

木材の種類については自分の好みはありますが、何をつくるか、入手可能か否かによって決めます。対象としている小物のアイテムにふさわしい木材は、硬いこと、重いこと、色味がよいことなどで、それらは高級感やエイジング・耐久性そして利便性に結びつきます。

それらの条件を満たした、私が好きな木材材料についてまとめます。

 

私が好きな木材 ~シタン

〇シタン(紫檀)・ローズウッド マメ科/広葉樹 気乾比重:0.82~1.09 

f:id:kuroko66:20190708093659j:plain

このキーホルダーは、土台がシタンでメープルが象嵌(ぞうがん)されています。半年前に作って自分で使っているものですが、適度な丸みを帯びて味わいが増しています。シタンは緻密で非常に硬く、比重の大きい木材なので高級感があります。色は暗い赤茶色の濃淡木目。他の材に比べると紫色ぽくも見えるのが名前の由来だと思います。小物製作において唯一無二の良材です。

・唐木三大銘木のひとつ

唐木とは遣唐使により唐より伝来したインド南部やタイ、ラオス、ベトナムなどの熱帯産樹種のこと。重硬で緻密な材質の紫檀(シタン)、黒檀(コクタン)、鉄刀木(タガヤサン)は三大銘木として古くから珍重されました。

・用途

工芸品(正倉院宝物の唐木細工・装飾)、仏壇・仏具、建築・建具(床柱・床框)、楽器(琵琶、三味線、二胡、篠笛、オーボエ、アコースティックギターなど)

・ワシントン条約

「シタン(紫檀)」と聴くと顔をしかめる環境啓発活動の仲間がいます。シタンのことを書く上で、このことに触れないわけにはいきません。

ワシントン条約とは1975年に発効された「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)」のことで、条約が採択された都市の名前をとって、ワシントン条約、または、英文表記の頭文字をとってCITES(サイテス)とも呼ばれています。

絶滅のおそれのある動植物の野生種を、希少性に応じて3ランクに分類、これらを条約の附属書I、IIおよびIIIに分けてリストアップし、合計約36,000種の動植物を取引制限の対象としています。

附属書Ⅰ:絶滅のおそれがある生きもので取引による影響を受けているもので、商業目的の国際取引禁止対象種:トラ、ゴリラ、ジャイアントパンダ、ウミガメ、ヨウム、センザンコウ など、約1,000種。

附属書Ⅱ:取引を制限しないと、将来絶滅の危険性が高くなるおそれがある生きもので、輸出国政府が発行する輸出許可書があれば取引が可能 。対象種:コツメカワウソ、ライオン、ヨーロッパウナギ、ジンベイザメ、タツノオトシゴ、サボテン、ラン、ローズウッド など、約34,600種。

附属書Ⅲ:その生きものが生息する国が、自国の生きものを守るために、国際的な協力を求めているもので、指定国の輸出許可書、指定国以外の場合は原産地証明書(指定国ではないことを証明)があれば取引が可能 。対象種:セイウチ(カナダ)、宝石サンゴ(中国) など、約200種。

2016年、ヨハネスブルグ(南アフリカ共和国)で開催されたワシントン条約第17回締約国会議で、新たに中央アフリカのブビンガ属 Guibourtia 3種(Guibourtiademeusei、Guibourtiapellegriniana、Guibourtiatessmannii)と西アフリカのアフリカ・ローズウッド(Pterocarpus erinaceus)とともに、ツルサイカチ属 Dalbergia 全体を附属書Ⅱに掲載することが決定されました。

 

平成29年1月時点での附属書に掲載された植物リスト(経済産業省HP)→

https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/download/cites_appendices_flora.pdf

市場に出ているものとしては、シタンに代表されるローズウッドと呼ばれるマメ科[Fabaceae]ツルサイカチ属[Dalbergia]の全て、コクタンに代表されるカキノキ科[Ebenaceae]カキノキ属[Diospyros spp.]があります。

 

このようにシタンやコクタンは附属書Ⅱに掲載されていますが、これは資源の永続性を確保するための国際間の取り決めであって、直ちにその使用や取引を禁止するものではありません。必要書類を揃えれば国際取引も可能ですし、既に国内に存在する流通在庫に対しては規制の対象外です。

 

ローズウッド種全てが規制対象となったことで楽器業界は衝撃を受けています。手続きの煩雑さを避けて近似種が乱獲されることが懸念されます。

 

以下の文書を参考又は引用させていただきました。

絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約 - Wikipedia

ワシントン条約附属書が改正されます~ローズウッド等の木材種、ヨウム等の輸出入はご注意を(平成29年1月2日から)~(METI/経済産業省)

www.digimart

(おわり)

 

にほんブログ村 ハンドメイドブログへ
にほんブログ村