モノノミカタ ~CNCを使った木工作品についての説明書きなど

自然と人をつなぐモノづくり。創作する上で知ったこと、考えたこと。

『天気の子』観てきました/ネタバレ・あらすじ/感想

『天気の子』観てきました。今回も新海監督らしいラブストーリーです。

以下、ネタバレになりますので、今後観るのを楽しみにしている方は読まない方がいいかもしれません。

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この映画を一言でいうと、3年前の『君の名は。』が時間を超えて好きな人(彼女)に会いに行く話とすれば、『天気の子』は空間(天、雲)を超えて好きな人(彼女)に会いに行く話。

『君の名は。』は、先祖から代々受け継いだ、地域を救うための特殊能力が発動された結果としての「男女の入れ替わり」、「時間の巻き戻し」が物語として見事に整合していたこと、新海監督の詩情豊かな男女のラブストーリーがハッピーエンドで締めくくられたことで、大ヒットになりました。

今回の『天気の子』も二人の再会で締めくくられますが、『君の名は。』ほど物語が入り組んでいないので、こちらの方が良いという人もいそうです。

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 物語の舞台は今回も新宿駅周辺と池袋。とてもリアルな風景描写です。今年の天気のように映画の中も毎日雨が降っています。

親のいない陽菜(ひな)は弟の凪(なぎさ)と二人暮らし。陽菜はある日、廃ビルの屋上の祠(ほこら)で「100%晴れ女」としての能力を与えられてしまいます。

陽菜が生活苦のため風俗の店で働こうとしていた時、通りがかった帆高(ほたか)に身を挺して止められます。帆高は陽菜の「100%晴れ女」の能力を活かした商売を思いつき、陽菜はその仕事にやりがいを感じます。でも、昔からの言い伝えでは「晴れ女」はやがて「人柱」となって消えてしまう運命ー。

 

見どころは雲や雨の自然描写の美しさ、そして晴れの陽(ひ)の恵(めぐみ)。今回は極地的な雷や豪雨の荒々しい表現が多かったのですが、ひと時でも雨が止んで陽が差せば、人の心は明るくなります。陽菜が纏(まと)う水滴の描写や、凪が被る“てるてる坊主”人形のかわいさも必見。端役ですが、『君の名は。』の滝と三葉・四葉も出てきます。

 

『万引き家族』の雰囲気があります。家出少年と親のいない姉弟が身を寄せ合って暮らし始めるが後半は警察に見つかり追われる展開。逃走の途中、やっと泊まれた宿がラブホテルで、子どもたちが(ジャンクフードだけど)食べ物にありつくことが出来、お風呂にも入れました。帆高は陽菜にプレゼントの指輪を渡すことが出来たけど、バスローブの下の体が消えかけていることを明かされます。そして朝になると陽菜は消えてしまっているー。

 

帆高は人間味のない役人や警察から逃走・拘留そしてまた脱走。帆高を拾ってくれた恩人でもある須賀さんは保身のため逃走を邪魔をするが、最後は警察を足止めしてくれる。須賀さん最初は『化物語』の忍野メメ(おしのめめ)にしか見えなかったなあ。アウトローだと思ったけど、実は常識人でした。

 

帆高は廃ビル屋上から天へ上り、雲の上にいた陽菜と再会。「雨は止まなくてもいいから地上で暮らそうー」。

それから3年間、帆高が保護観察で田舎に閉じ込められている間もずっと雨は止まず、東京の大部分は水浸しに。二人は再会し、同じ東京で暮らせることになりましたが、「物語としてこれでいいのか?」と私だけでなく皆も思ったはずです。

 

「異常気象が定常化している」など最近の気候変動について不安に思う人は大多数だと思いますが、帆高は異常な気象は昔からあるし、東京が雨(海)に沈んでも江戸時代は海だったんだと言い切ります。こんな「天気の捉え方」がとても達観していて驚くとともに感心しました。「自然は荒々しく容赦のないもので、人間はその自然の中で生かされている存在。でもそれは大昔から同じことだから。前向きに生きよう」ということが監督のメッセージなのでしょう。それは若い人たちにとっては、これからの時代を生きるための世界の捉え方であり、知恵なんだろうなと思いました。

 

(おわり)

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