「表現の不自由展・その後」の鑑賞が先日の10月8日(火)午後から再開されました。『あいちトリエンナーレ』の会期が10月14日(月)までなので、一週間のみの鑑賞期間となります。この「表現の不自由展・その後」の再開に合わせて、他の中止していた作家の展示も鑑賞できるようになっていました。
調べてみると「表現の不自由展・その後」は抽選らしいということで、本日、初回抽選の午前9時過ぎに愛知芸術文化センターに到着。
そこで裏に同意書様式付きの「~鑑賞の流れを」の紙(下写真)を渡されました。
一日に抽選が3回。1回の抽選で当選するのは定員35名×2で70名だけ。つまり1日に210名しか鑑賞できません。
平日にもかかわらずお客は多く、抽選を希望する方だけでも1回につき数千人はいたと思うので宝くじを買うようなものです。
抽選に並ぶとリストバンド型抽選券を手首にはめてくれます。
締め切りから10分後にHPと会場前のモニターで結果発表。
大多数の方は外れなので、すぐに回収かごへリストバンドを備え付けのカッターで切って捨てます。このリストバンドは紙のようなのですが、特殊な繊維でコーティングされており、手では外せないようになっています。
幸運にも当選した人はリストバンドに当選スタンプを捺してもらい、入場時間まで手首に巻いていなくてはいけません。他に身分証明書の提示と同意書への署名が要ります。
不穏な輩が入り込まないよう、幾重にも対策を練られています。動画の一部分を写真で撮られてSNSに投稿されたことが問題になったようで、その辺の同意も取らせています。
私は3回抽選に参加しましたが3回とも外れてしまいました、残念。でも「表現の不自由展・その後」は全体からみれば一つの展示にすぎません。今回の騒動で展示を中止にしていた作品を見ることが出来たので、よかったと思うしかないでしょう。
主な展示は過去ブログ(下)で紹介していますので、新たに再展示された作品の中からご紹介します。
www.natural-arts.jpピア・カミル
音楽のバンドTシャツを集め、巨大な幕に縫い上げた作品。地下の入口正面にかかっています。
CIR(調査報道センター)
これは骨のある展示です。合衆国で行われている移民に対する迫害や、政府や企業が行っている諜報活動、牛が排出するメタンガスは、車などから出るCO2の何倍も温室効果があることなど、動画で分かりやすく教えてくれます。
モニカ・メイヤー
名古屋市美術館の展示。“メキシコのフェミニスト・アートのパイオニア”だそうです。小さな紙に女性たちの思いを書いてもらうことにより、ジェンダー間の不公平を可視化しています。
今回の騒動は、日本人にみられる、アートに対する態度や文化に対する未成熟さ、隣国の人の痛みに対する思慮のなさ、底の浅い精神構造など見事にあぶりだしてしまいました。日本人の劣化、ここに極まった感があり、非常に残念なこの頃です。
(おわり)