モノノミカタ ~CNCを使った木工作品についての説明書きなど

自然と人をつなぐモノづくり。創作する上で知ったこと、考えたこと。

「和時計風」置時計のデザイン/CNCを使った木工小物製作

「和時計風」置時計の検討が続いています。

前回は和時計の特徴について記しました。今回は時計の盤面を中心に検討します。

www.natural-arts.jp

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和時計は「不定時法」なので厳密には既製品のムーブメントでは追いきれません。したがって便宜的に2時間ずつの枠を設けて十二支、又は漢数字をはめることになります。

 

〇「子の刻始まり」・スパイラル状に時刻を刻む

和時計の盤面は、子の刻から始まり、亥の刻で終わるまでで一周ですので、順番は一目瞭然なのですが、半日で一周する盤面に表示を刻むと連続性が失われます。

そのまま配置すると「子」からはじまり一周すると「巳」で終わって「午」につながりません。

そこで連続性を保つよう、こんな盤面を考えました。

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これであれば「巳」の次に、ちゃんと「午」が来ます。

しかしこの盤面では、今の人が江戸時代の生活を思い浮かべるには手掛かりが少ないのでは。

そこで昼夜の区分で文字盤を構成してみました。

 

〇「卯の刻始まり」・昼夜の区分を明示

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二段表示にし、昼間の時刻は〇で囲みました。昼間の時刻は盤面外側、夜の時刻は盤面内側に配置されています。これであれば昼夜の時刻が明確になり、わかりやすくなりました。

でも「子」から始まり「亥」で終わる“連続性”が失われ、ちょっと気持ち悪くないですか。

〇「子の刻始まり」・昼夜の区分を明示

これまでの検討を活かした自分なりの最終案です。

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文字盤は「子の刻」から始まりますので境界に太めの溝を入れています。

子・丑・寅は周辺を彫り込んで「夜」を表します。「卯の刻」は夜明け(日の出)の時間ですのでここから辰・巳・午・未・申は「昼」を表すための丸で彫り込みます。そして再び「酉の刻」の夜更け(日の入り)を迎えて「夜」の戌・亥と続きます。

こうすれば二段書きでも、昼夜の区別がつきやすいでしょう。

 

ケヤキの板を使って文字盤を作成しました。

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板に細かい字を彫り込むと視認性が悪いというのは「バイオリンのネームプレート」の時からわかっていましたが、かなり時間をかけて彫り込んだのに文字がよく見えないのはとてもガッカリします。

陰影でしかカタチを把握できないのは、古(いにしえ)の木彫の仏像にも言えることなのでこの辺が限界かと判断し、試作を終わりにしました。

「和時計風」置時計のプランはしばらく温めておくことにします。

 

(おわり)

 

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