前回、サン=テグジュペリの『星の王子さま』を“観た”話を掲載しましたが、中田敦彦さんのYouTube大学で再度、授業をされていますのでご紹介しておきます。興味のある方は是非ご覧ください。わかりやすい解説と、深い考察があります。最後の『天空の城ラピュタ』の中の歌、「たくさんの灯が懐かしいのは~」(※作詞は宮崎駿!)の解釈は鳥肌モノですね。
【文学】世界的名作「星の王子さま」完結編(しくじり先生リバイバル) - YouTube
キツネが教えてくれた“特別なバラ”、「過ごした時間が特別な二人にする」という話に、私は『養老孟司の幸福論』を思い出しました。
養老さんは、「自分の死は、自分には意味をもたない、また見知らぬ他人の死も、肉親の死に比べたら無に等しいはず。死ぬことも生きることも三人称の誰かのためでなく、人生は親しい二人称のためにある。」と言っています。「自分の命は自分のものではない」だから、「自殺などもってのほか」とも述べています。
養老孟司さんは「虫取り」が大好きで、今はそのために生きているそうです。人は「人事の世界(都市生活)」と「花鳥風月の世界(昆虫採集など自然に触れる時間)」の二つの世界があり、両方を行き来して生きてきました。今の人は「人事の世界」に埋没してしまっている方が多く、ある意味、畸形になっているのかもしれない、とのことです。
先日、バラカンさんのポッドキャストで養老孟司さんが出演されていました。
https://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/museum/museum_vol591.mp3
「意識と感覚」についての話(28:00くらいから)はそのことについて述べています。オフィスの中にいると「温度が一定」、「意味のないもの(わからないもの)を置かない」から、“感覚”をだんだん失くしてしまう。外の世界をブロックすることは人間をおかしくするのではと言っています。
でも都市の中で暮らしている人にとって、アートは“感覚”を取り戻す手段になるとのことです。アートは「意味のわからないもの」「予定調和でないもの」を含むから。
モノづくりはアートでもあります。全く予定調和でなく、偶然が新しい表現を生んだりします。もちろん偶然を受け入れる“感覚”も不可欠になります。自分も仕事場にこもるより、自然や他のアート作品との出会いを増やさなくてはと思いました。
(おわり)