今、巷(ちまた)を騒がしている『あいちトリエンナーレ』をのぞいて来ました。もっとも会場が名古屋市内と豊田市に分かれているので、今回は名古屋市内のみを鑑賞。
〇芸術祭の概要
・会期:2019年8月1日(木)~10月14日(月・祝)[75日間]
・主な会場:愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、名古屋市内のまちなか(四間道・円頓寺、豊田市(豊田市美術館及び豊田市駅周辺)
・コンセプト:「情の時代 Taming Y / Our Passion」
コンセプト全文→コンセプト | あいちトリエンナーレ2019
・企画概要:国際現代美術展、音楽プログラム、パフォーミング・アーツ、映像プログラム、ラーニング
〇どうだったと聞かれれば
名古屋市内の美術展をのぞいただけの印象でいえば、
1.作品の説明・解説不足
90組のグループが参加しているとのことなので、作品についてはグループに任せたきりで、主催者側が内容までは精査していないのでは。展示作品の背景や、何を表現したいのかなど、ちゃんとこちらに伝えようとする意志が感じられない作品が多かったと思います。
2.作品の質は玉石混交で石が多いかな
「名古屋市内のまちなか」のほうは、担当の案内ボランティアの方が気の毒に思える展示がありました。
〇記憶に残った展示
玉石の、玉に近い方を紹介します。
ウーゴ・ロンディノーネ「孤独のボキャブラリー」
発泡スチロールの人形だそうですが、生きているとしか感じられません。実物に近いほど、各人のそれぞれ記憶や想像を呼び起こしますので、それだけでもよい作品と言えます。残念ながら現在、作家側から主催者へ展示中止の申し入れが出ています。
ユェン・グァンミン「日常演習」
台湾における防空演習中、誰もいない都市をドローンで捉えた作品。気味の悪い実物の都市の様子が動画で流されます。
津田道子《あなたは、その後彼らに会いに向こうに行っていたでしょう。》
障子の大きさに嵌め込まれた鏡や映像スクリーンが、古民家の空間に違和感なく溶け込んでいます。映像スクリーンには現在と少し前の様子が交錯し、懐かしさみたいなものも醸しています。
伊藤家住宅という堀川と四間道に挟まれた立派な古民家が会場。机にはカエデの葉っぱが。
期間内なら何度でも観覧できる「フリーパス」を買ってしまいました。現在、「表現の不自由展・その後」展示再会を求め、展示の撤退や変更を表明しているグループが10組以上。次に行く頃にはもっと展示が少なくなっているかもしれません。作家の方は展示の中止ではなく違う方法で対抗してほしいです。
(おわり)